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2024.10.11(金) 広島交響楽団第445回定期演奏会(広島HBGホール)

2024年10月11日(金) 18:45開演 広島文化学園HBGホール

指揮:準・メルクル
ヴァイオリン:ポール・ホアン

リヒャルト・シュトラウス(生誕160年):ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品8
ブルックナー(生誕200周年):交響曲第9番ニ短調 WAB 109(ノーヴァク版)

 

10月11日に没したブルックナーの命日に開催された、広島交響楽団第445回定期演奏会。天国のブルックナーへの素晴らしいささげ物となる演奏会でした。
1824年生まれのブルックナー生誕200年の記念の年、ブルックナーを聴く機会が多かったですが、自分はこの演奏会が最後のブルックナー。

前プログラムは、R.シュトラウスのヴァイオリン協奏曲。緻密でよく響くオーケストラの扱いが素晴らしい若書きの佳曲、栴檀は双葉より芳しとはまさにこのこと。
ホアンさんのヴァイオリンに瞠目しました。音程は正確で、抜群のテクニック!予習でいくつかの録音を聴いていましたが、この演奏が抜群でした。冒頭から気合いの入った広響も最高。
終演後、ホアンさんのサイン会で今日の素晴らしい演奏に感銘を受けたことをお伝えできて、良かったです。

ブルックナー9番、オケに伝えようとするマエストロの確たるヴィジョンが客席にも伝わってきて終始圧倒され、弛緩する瞬間はひと時もなし。
ヴァイオリンのプルト内の席の配置がいつもと違っていたのが奏功したのか、四方さんから後席まで一体感があり素晴らしいサウンド。ヴァイオリンからコントラバスまで、いつもと音圧が違いましたが、これは一体なぜなのか。

この演奏を、リーデンローズで聴きたかった!定期は、広島と福山で毎回開催しませんか?

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2024.09.27 広島交響楽団 ディスカバリーシリーズ 「ふたりのヴォルフガング」第2回 (アステールプラザ大ホール)

2024年9月27日(金) 18:45開演 JMSアステールプラザ大ホール
指揮:クリスティアン・アルミンク
オーボエ:板谷由起子
クラリネット:品川秀世
ホルン:小田原瑞輝
ファゴット:門田奈々
チェロ:マーティン・スタンツェライト

モーツァルト:歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」序曲
モーツァルト:管楽器のための協奏交響曲変ホ長調 K.297b
コルンゴルト:チェロ協奏曲ハ調作品37
コルンゴルト:「シー・ホーク」組曲

こちらに住んでいるとなかなかコルンゴルトを聴く機会がないので、広響の今年のディスカバリーシリーズ「ふたりのヴォルフガング」は嬉しい限り。
第1回目は所用で伺えなかったので、今回が初。

一人目のヴォルフガング、モーツァルトはK.588序曲とK.297b。K297bの自筆譜がない問題はさておき、管楽器奏者の妙技を味わうことができる佳曲。
K.297bでは、広響が誇る板谷さん、品川さん、門田さん、小田原さん4人の首席奏者の皆さんの演奏を堪能。
最後のアンコールでのK.622の2楽章での品川さんのしっとりとした音色と歌いまわし、絶品。

二人目のヴォルフガング、コルンゴルトはチェロ協奏曲とシーホーク組曲。
マーティンさんのソロ、音楽が進むにつれて伸び伸びと響くチェロが素晴らしい!コンパクトだが、甘いメロディーと巧みなオーケストレーションが施された協奏曲は、これぞコルンゴルト!
シーホーク組曲、冒頭から鳴りっぷりのよいオーケストラの音に身を委ねれば、コルンゴルトの世界にどっぷりと。こうして様々なコルンゴルトの作品に触れる機会を作ってくださったアルミンク監督、広響の皆さんに心からの感謝を!

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2024.08.25(日) ひろしまオペラルネッサンス プッチーニ:歌劇《修道女アンジェリカ》 歌劇《ジャンニ・スキッキ》

2024.08.25(日) ひろしまオペラルネッサンス アステールプラザ 14時開演


ジャコモ・プッチーニ:歌劇《修道女アンジェリカ》全1幕
〈原語(イタリア語)上演/日本語字幕付〉

ジャコモ・プッチーニ:歌劇《ジャンニ・スキッキ》全1幕
〈原語(イタリア語)上演/日本語字幕付〉

芸術監督・演出:岩田達宗
指揮:川瀬賢太郎
管弦楽:広島交響楽団
合唱:ひろしまオペラルネッサンス合唱団、NHK広島児童合唱団

《修道女アンジェリカ》
アンジェリカ:田坂蘭子
公爵夫人:八木寿子
女子修道院長:大賀真理子
修道女長:森園あや
修練長:新家華織
修道女ジェノヴィエッファ:川手響
修道女オズミーナ:中野綾
修道女ドルチーナ:荒尾公美子
医務係の修道女:山下裕子
托鉢係の修道女A:網永悠里
托鉢係の修道女B:須藤歩希
修練女:小坂有理亜
助修女A:本村聡子
助修女B:吉川秋穂
修道女:大城薫、片山孝恵、久保幸代、重本ゆうき、平岩蘭、藤原晴珠、山持真美

《ジャンニ・スキッキ》
ジャンニ・スキッキ:安東玄人
ラウレッタ:原田幸子
ズィータ:佐々木有紀
リヌッチョ:中島康博
ゲラルド:難波孝
ネッラ:柳清美
ゲラルディーノ:重本ゆうき
ベット:飯塚学
シモーネ:安田旺司
マルコ:山本徹也
ラ・チェスカ:浦池佑佳
スピネッロッチョ:山岸玲音
アマンティオ:山岸玲音
ピネッリーノ:一大輔
グッチョ:森本誠

「ジャンニ・スキッキ」、「修道女アンジェリカ」ともに、舞台背景はベックリンの「死の島」がモチーフ。
演出の岩田さん曰く、「死者の記憶を守り、悼み、祈るために描かれた名画が、現代の広島で舞台上によみがえる。79年前にここで亡くなった方々を忘れないでほしい、同時に、新しい人が広島に集まってほしいという願いを込めている。舞台を通じ、大切な人のことを思い出してほしい。」(中国新聞8月16日WEB版)。

開幕前に出演者が舞台設営を始める趣向は、一興。特に、ジャンニ・スキッキではリヌッチョが一人舞台に残って継ぎ目なく始まり、こうした演出もありだと思った。

会場はアステールプラザ大ホール。ここは響きが非常にデッドで、以前に2階席最前列でディスカバリーシリーズを聴いた時は、音の響きが期待したものよりも薄かったこともあり、音を堪能するためにはできるだけ前方席が良いのではと判断。
前から5列目の席を確保して、実際に席についみると少々舞台に近すぎたかもと思ったが、正解。声、オケともに明瞭で音量も問題なし。
バランスの悪さを危惧したけれど、声とオケのバランスは良好に感じた。

川瀬マエストロの指揮は、細やかで明瞭。ヴェリズモ系との親和性が高いかも。コンサートでもオペラでも、また、聴いてみたいと思った指揮者。
広響は充実した響き。深いオケピットは、声とのバランスをとった結果なのか。

歌手では、ジャンニ・スキッキ、アンジェリカともにブラヴォー。外題役以外も、ラウレッタ、リヌッチョ、公爵夫人、ジェノヴィエッファ、オズミーナ、ドルチーナにも賛辞を。

「修道女アンジェリカ」、自死の決心から救済までは、もう少し演出がセリフを補って心の揺れを表現できていたら良かったかも。歌唱は素晴らしい。カーテンコール前、アンジェリカと幼子が並んで立っている姿に、2人の魂の救済を見る。

20分休憩。ロビーでは、オペラの舞台となったイタリアのワインが提供されていた。ノン・アルコールのスパークリングワインがあり、車での来場者にとっては嬉しい一杯。

「ジャンニ・スキッキ」では、字幕の一部が広島弁。自分は、肯定的に受け止める。
幕切れ前、演者が集まり、ジャンニ・スキッキが会場に問いかけるシーンは、良いアイデア。あえてフライング拍手を誘い、それがいい雰囲気に。
場を和ませるためのアドリブ的なシーンがあったけれど、少々品がなかったかも。そんなことをしなくても、客席は十分に温まっていたと感じた。

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