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2024年03月24日(日) 群馬交響楽団 東京定期演奏会 2024年 春  サントリーホール

指揮:飯森範親 
ピアノ:ジャン・チャクムル

モーツァルト:ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466
ブルックナー:交響曲 第9番(コールス校訂版)

2024年東京遠征の掉尾を飾るのは、飯森範親マエストロ、群馬交響楽団のブルックナー交響曲第9番。前プロのK.466の独奏は、若手の有望株チャクルム。

大学の同級生のK君と広場で待ち合わせ。今日は虎ノ門から歩いてきたとか。相変わらずの健脚ぶり、さすが。

席は、RC1列6番。全体の響きを味わいたかったのでRCを選んだが、奏者の姿をもう少し間近で見たかった。音はよく響いていたので全く不満はなかったけれど、やはりRBにすべきだったかも。

K.466の前奏からチャクルムさんはピアノを弾いていて驚愕!
なるほど、当時はこうしたこともあったのかも。伸び伸びと弾く姿は見ていても気持ちよく、このアイデアもありでは。もっとも、皆がみんな、真似し始めるたらそれはどうかと思いますが。

休憩後の、ブルックナー。
ところどころで、いつもとは違う音が聞こえてきたように思うけど、気のせい?それとも、コールス校訂版だから?
弦楽器セクションにたっぷりとした厚みがあるから、力強いブラスセクションもギリギリのバランスで突出せず。それにしても、よく鳴る。
終演後の熱心な拍手に、こうして熱心なファンに応援されるオーケストラっていいなと素直に感じ入る。

K君と東京駅まで移動し、軽く一杯。
名残惜しいけれど、これにて東京遠征は終了。
帰りのサンライズ瀬戸のシャワーカードを入手するため、9番線の11号車入口付近の行列に並ぶ。1時間程度なので、音楽でも聞いていればあっという間。

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2024年3月23日 楽劇「トリスタンとイゾルデ」 新国立劇場 オペラパレス 開演14時

指揮:大野和士
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
美術:ロバート・ジョーンズ
照明:ポール・コンスタブル
振付:アンドリュー・ジョージ

トリスタン:ゾルターン・ニャリ
マルケ王:ヴィルヘルム・シュヴィングハマー
イゾルデ:リエネ・キンチャ
クルヴェナール:エギルス・シリンス
メロート:秋谷直之
ブランゲーネ:藤村実穂子
牧童:青地英幸
舵取り:駒田敏章
若い船乗り:村上公太
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京都交響楽団

朝から小雨。時刻表を買うために上野に出かけ、ついでに朝食。
一度宿に帰り、のんびりしてから新国立劇場へ。初台へ、だなんて気取った言い方は似合わない。

初めての新国立劇場。お上りさんであることを恥じることなく、建物内をあちこち逍遥し、X100Vでパチリ、パチリ。
オペラパレス内部は木材と華やかでありながらも落ち着きのある色調で、コンクリートとガラスを多用したモダンな外観とは対照的。

席は、2階R1の10番。ステージ上手側奥以外はほぼ全て見えつつ、オケピットを斜め上から見渡すことができて、指揮者もよく見える特等席。ステージ、オケピット、指揮と視点を動かすことに忙しいのが贅沢な悩み。
オケの音の密度がやや薄いのではといったレビューも拝見したが、自分の席では十二分な音の厚みを感じられ、素晴らしい都響の響きを堪能。
やはり、自分はオペラはピット近くの席が好みであることを再確認。舞台に近いので舞台装置の軋み音が聞こえてくるのも、一興。

外題役の歌手は当初発表から二人とも変更になるというアクシデント、もといオペラ興行ではよくあること?にも関わらず、健闘していたと思う。
キンチャのイゾルデは細身ながらも美しい声で、好印象。ニャリのトリスタンは姿とは異なり若干の軽めの声質で声量も控えめ。無理して声を絞り出すよりはよっぽどマシとは思うものの、他の歌手の充実の前には若干沈み込み気味だったかも。
ブランゲーネ、マルケ王、クルヴェナールはいずれも申し分なし。藤村さんの素晴らしいブランゲーネを聴けて、ただただ満足。

舞台は、シンプルながらも美しいもの。光の使い方が控えめながらも非常に印象的。
指揮の大野マエストロ、一幕から三幕の幕切れまで集中力を途切れさせることなくオーケストラと歌手に指示を与え続けている様を見られて、やはりこの席にして良かったと満足。
二幕の二人の甘美なデュエットはあえて抑制的な歌い方だったように思うが、これはこれで美しい情景。一部カットしたのは、急遽参加することとなったニャリへの配慮?
赤く染まった月に向かって歩くイゾルデの後ろ姿を見送る幕切れまで、三幕の幕開けからの集中力は途切れず。
イングリッシュホルンのソロの際に客席から大きな咳が聞こえたものの、こればかりは致し方なし。ご本人も、さぞ恐縮されていることでしょうし。
盛大なカーテンコール、終演は19時30分過ぎ。

幕間ダッシュに負け続けたので、幕間のお楽しみの一つ、シャンパーニュやワインをゆっくりと座っていただくことはできず。まぁ、立って飲んでも味わ変わりませんからと、強がってみる。

このあと、大学の同級生と新宿でプチ同窓会。みんな、変わったようで変わっていませんでした。
楽しい時間は、あっという間。もう少しで終電に乗り遅れるところ。危ない、危ない。
店の手配等で大変お世話になりました。また、元気なうちに会いましょう。

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2024年3月22日 日本フィルハーモニー交響楽団 第758回定期 サントリーホール

指揮:アレクサンダー・リープライヒ
ヴァイオリン:辻彩奈
三善晃:魁響の譜
シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番 op.35
シューマン:交響曲第3番《ライン》 変ホ長調 op.97

辻彩奈さんのヴァイオリン独奏、シマノフスキのヴァイオリン協奏曲第1番がプログラムに掲載されたので、2024年の東京遠征はこの日に決定。
ぶらあぼでこの日近辺のコンサートを確認してみると、23日は新国立劇場でトリスタンとイゾルデ、24日は群馬交響楽団と飯森範親さんのブルックナーの交響曲第9番。さすが、魔都東京。
往復の行程は別に記録するとして、まずは演奏会の記録から。

入谷付近の宿に22日17時過ぎに予定どおり到着して荷物を下ろし、いざサントリーホールへ。東京近辺の方の言い方だと、いざ溜池山王へというところでしょうか。
久しぶりのサントリーホール。席はお気に入りのLB、今日は8列目。
18時30分から広瀬大介先生のプレトークあり。

第1曲目の三善晃の「魁響の譜」は岡山とゆかりの曲。響きの交通整理が行き届いた指揮。明瞭なタクトは、こうした曲を演奏するオーケストラにとってもありがたいのではないか。
日フィルのニュートラルな響きが好印象。微妙なグラデーションをつけながら移ろう音の色彩に、楔のように打ち込まれる打楽器。素敵。

さあ、本日のコンサートの個人的なメインの、シマノフスキの1番。
まず、この席を押さえた自分を称えたい。
オーケストラがぼやけることなく解像しながらも、良好に響くバランスの良いサウンド。辻さんのソロもくっきりと浮かび上がって聴こえ、もう最初の一音から心を鷲掴みにされてしまい、囁くように消えゆく終曲まで、ひとときも放されず。
色彩の豊かさもさることながら、音の立体感が素晴らしい。シマノフスキの仕掛けがこんなにも明瞭に聴こえてくるとは!明確なビジョンを持った指揮者の高い技量のタクトに導かれたオーケストラと、凛とした豊かな響きの独奏ヴァイオリン。
これほど、高いレベルのシマノフスキを聴けるだなんて・・・。あまりの素晴らしさに身震いする。
この演奏が聴けただけで、この度の東京遠征は十分満足です。

・・・と思っていたら、休憩後のシューマンの交響曲第3番。生き生きと波打つように始まった第1楽章、これは素晴らしい!リープライヒは、厚い音に埋もれがちになるフレーズを浮かび上がらせ、対位的な進行を殊の外興味深く聴かせてくれる。
知的で分析力に非常に優れる指揮者と拝察。この演奏会まで名前を存じ上げなかった己を恥じ入るばかり。

遠征後、山口に戻ってリープライヒがポーランド放送交響楽団を指揮したシマノフスキとルトスワフスキのシリーズのCDを全部購入。
ヴァイオリン協奏曲第1番はツェムリンスキーの抒情交響曲とのカップリング。いずれも、名演。


追記
当日の演奏会レビューが、毎日クラシックナビに掲載されているのを発見。
https://classicnavi.jp/newsflash/post-15824/
三善、シマノフスキの好意的な評に、我が意を得たり。
辻さんのヴァイオリンに対する評は、まさに同感。
「張りと芯のある」辻さんのヴァイオリンを評して、「厚めの綿織物の中に絹糸を1本通すが如し」とは、言い得て妙なり。

違いは、シューマン。「細かい変化が盛り込まれていく」ものの、「全曲が同一のトーンに終始した」との評。
自分としては、全体的な音色の統一感を保ちながら、素晴らしく生気に溢れた立体的な演奏に大満足だっただけに、そこの評価がこの曲の演奏全体の印象を左右するのかと得心。
この評を読んでも、自分が抱いたこの日の演奏に対する印象に些かも変わりはなし。
むしろ、オケのあの音色がこの日のシューマンの良さの一つだったのになと思うものの、専門家の聴き方は参考になる。

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