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ジークフリート牧歌を4つ

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アッバードの没後、彼の演奏がAuditeからリリースされました。ルツェルン音楽祭でのシューベルトの「未完成」、ベートーヴェンの交響曲第2番、そしてヴァーグナーのジークフリート牧歌。
オーケストラは最初の曲はウィーンフィルで、それ以外はヨーロッパ室内管弦楽団。どちらも、アッバードと縁の深いオーケストラです。

しなやかに、楽器の間で歌が流れていくジークフリート牧歌でした。このくらいの編成だと、アッバードとオーケストラの受け渡しが濃密になるのか、緻密で曲の隅々まで考えられた演奏に、ただただ感嘆。
普段は何かのついでにしか聴かない曲ですが、素朴さをまといながらも色々な音が聞こえてくる佳曲であることを、再認識しました。

我が家にあるジークフリート牧歌の録音は大してありませんが、聴き比べ。

カラヤンの最晩年にザルツブルク音楽祭のライブ録音。確か、彼の最後のザルツブルクだったはずです。
滑らかなレガートで紡がれる演奏ですが、時々思い切った表情も見られ、おやと思う瞬間も。このCDは、ジェシー・ノーマンが歌う「愛の死」が絶品です。

クレンペラーがベルリン国立歌劇場管弦楽団と1927年に録音したSPからの復刻。
大きな弧を描くフレージング、小細工をしない演奏は、クレンペラーその人のもの。およそ90年前の録音ですが、その特徴は確かに伝わってきます。時々聴こえてくるポルタメントに、時代を感じます。

そして、ジークフリート、その人自身がロンドン交響楽団を1927年に指揮したもの。
指揮者として活躍し、周囲の音楽家からも信頼を寄せられたという彼。1930年に亡くなったということもあり、録音が少ないことは本当に悔やまれます。
曲想に合わせて細やかにテンポが動き、音楽が進んだり、立ち止まったりしながら、父から捧げられた曲を指揮するジークフリートの幸せを共有するひと時。
これは、NHK-FMからの録音。

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