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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 (村上春樹)

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人を結びつけるのは調和ではなく、むしろ傷によるということに気づく主人公。僕の中の何かとこの物語が共振して、思わぬ所から異音が聞こえてくるようで、戸惑います。
ここに描かれている物語のような特別な事があった訳ではなく、淡々と毎日を過ごしているだけなのですが。

村上春樹氏らしいトーンとリズム、そして転調。好きな人にはたまらないでしょうし、嫌いな人にも堪らないでしょう。
僕は村上氏の良い読者ではないと思うけれど、その世界を楽しむ事はできました。

本書でキーとなる音楽は、題名にあるとおり、リストの「巡礼の年」。1Q84ではチェコ(ヤナーチェク)、本作ではハンガリーと東欧が続きました。さて、次作はポーランドか。ここでシマノフスキがとりあげられ、一気にブレイクしてくれたらとシマノフスキ好きとして期待しています。



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