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ジャン・マルク・ルイサダ ピアノリサイタル(2012.11.18 周南市文化会館)

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11月18日は、待ちに待ったジャン・マルク・ルイサダ氏の周南市公演。家族でコンサートに行くのは、初めてのことです。

マズルカの作品67と68、このコンサートで初めて耳にしました。シンプルな構成の曲、抒情的な旋律が印象に残る曲等、多種多様。
続いて、舟歌、スケルツォ第2番と、耳馴染みのある2曲。丸みのある音、極端なコントラストを避け、曲想の推移を滑らかに、抒情的に。アルゲリッチの激しい情念、ポリーニの知的で立体的な透明感とは違う世界。

続いて、ドビュッシー。ベルガマスク組曲と、前奏曲集第1集からの抜粋。
正直に告白すると、前半のショパンより、断然興味深く聴くことができました。
和声内部のバランスに細やかな気配りがされた演奏で、音数が少ない曲での音の微妙な重なり。音響装置を通じてでは、再現が難しい世界だと思います。

ただ、調律上の問題なのか、ピアノの響きに濁りが感じられたのはどうしたことでしょうか。休憩時間に調律されて、後半は少しは改善したようには思いましたが、なぜ、コンサート開始前に問題が解決されていなかったのか。
妻は低音の響きに違和感を覚えたとのこと。ピアノの状態は、万全ではなかったようです。ルイサダ氏は響きの微妙な違いを弾き分けようとなさっていただけに、本当に残念でした。

後半プログラムのショパンは「別れの曲」、24の前奏曲集から第17番から第24番まで。
「別れの曲」は耽美に落ちることなく、コントロールされた弱音。この1曲だけでなく、12の練習曲全部聴いてみたかったです。
前奏曲集の17番の温かな曲想は、ルイサダ氏の音楽を通じて、さらに魅力を増していたように感じました。幸せなひと時。
その後、24番の最後の三つの音の強打まで、一気に。軽やかに飛翔したかと思えば、深い森に沈みこんだような響き。

終演後、妻と弱音の素晴らしさで意見が一致。まろやかで、バランスが良く、そして音楽の構成要素をぼやけさせてしまわない輪郭を感じさせるピアノ。ワインで言えば、素晴らしいボンヌマールのよう。歪みない円のような完璧なバランスを保ちつつも、穏やかな温かみを感じる世界。

客席でのノイズや、演奏中に退席者がいたりと気になることもありましたが、ルイサダ氏のにこやかな笑顔に救われました。



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