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マーラー 君に捧げるアダージョ

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LeitzMinolta CL M-Rokkor40mm

本当は映画館で観たかったのですが、市内で上映された二日間に都合がつかず、残念ながらレンタルDVDでの視聴。忘れない間に、メモ。

昨年は、マーラーの没後100年という事でラトル=ベルリンフィルのチクルスをはじめ、マーラーが取り上げられる機会が多い一年でした。
この映画も、そうした没後100年企画の一つだったのでしょうか。

劇中の音楽は、サロネンがスウェーデン放送響を指揮したマーラーの交響曲第10番のアダージョをメインに、アダージョをアレンジしたもの。
映画のためのこの録音は売りの一つだったので、大いに期待して聴きましたが、心なしか散漫な印象。心を掻き毟り、アルマに対する複雑で、悲痛なマーラーの声がもう少し聴こえてきたら・・・。

「起こったことは事実、どう起こったかは創作」との冒頭のテロップ。何も、そんな風に念を押さなくてもと苦笑してしまいましたが、その後の映画の演出をすんなりと受け入れる役割を果たしていたのは事実かも。映画の出だしから、監督さんの手の内に。
マーラーとアルマの関係についての物語は、フロイトによる精神分析を経ながら、その深層に近づいていくという構成。そう、物語は原題の「Mahler auf der Couch(Mahler on the Couch)」のとおり、フロイトのカウチの上で解きほぐされていく訳ですね。
彼女の自伝を読めば、マーラーにも負けず自己愛が強かったと思われるアルマ。マーラーに作曲を禁じられ、「自分の」音楽を作ることが叶わない彼女。「自分の」音楽を作り続ける才能豊かなマーラーとの生活を続けることで、苛立ち、苦しみを深めることとなる。
マーラーが欲した結婚生活、マーラーに必要だった結婚生活、そしてアルマが欲した結婚生活のギャップ。このことに、アルマよりもマーラーが気づくのが遅れたことが、フロイトが劇中で何度もマーラーに問いかけた「罪」の一つだったのでしょうか。

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