プレミアム8を観て
カラヤン生誕100周年の2008年に放送された番組、「ヘルベルト・フォン・カラヤン ~ その目指した美の世界 ~ 」の何度目かの再放送を、NHK-BShiで視聴。
カラヤンという巨人を僕が評するなんて、群盲象をなでるようなものですが、音楽評論の世界で彼の業績のどう総括されているのか気になります。余談ですが(というか、僕の記事から余談をとったら何が残るかということを問わないのは、大事なお約束ということで)、クラシック音楽の専門誌では定期的に「ベスト100」とかという企画がされますが、そんなレコード会社の提燈持ちみたいな記事なんて書いていないで、演奏史におけるこうした過去の遺産についての様々な検証を丁寧に記事にすることこそ、クラシック音楽業界にとっては必要なことでしょうに・・・、なんて偉そうに、もう。
「音楽のセールスマン」と言われることもあったそうですが、カラヤンが活躍した時代は昔ながらのパトロンなんていなくなっている訳ですから、セールスマンとして広く大衆に音楽を売り歩かなければならない必然性を誰よりも強く感じていたのでしょう。そんな彼のことですから、媒体として「音」のみならず「映像」にも関心が向くのは、理の当然。
ただ、映像に残された彼の美学の実践としての記録(番組で紹介されたベートーヴェンの交響曲等)には、池をのぞきこむナルキッソスの姿が写っているだけで、肝心の音楽の美が紡ぎだされる場の記録が何も残されていないというのは、何とも皮肉なことではありますが。
それにしても、クラシック音楽なんて、今や(強気に見積もっても)音楽市場の数パーセントを占めるだけでしょうに、NHKがFMやBSでこうした放送を続けてくれるというのは、本当にありがたいことです。渋谷に足を向けて寝るなんて、とても、とても。
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