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オーケストラがやってきた

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3月11日は、周南市文化会館でのNHK交響楽団の演奏会に出かけてきました。N響を最後に聴いたのはデュトワ指揮のショスタコーヴィチ交響曲第4番ですから、およそ15年ぶりでしょうか?
この日のプログラムは、全てアメリカに関係のある作曲家のもの。20世紀のアメリカを代表する作曲家のコープランド、第二次世界大戦前のオーストリアからアメリカに亡命したコルンゴルト、そしてニューヨークの音楽院の院長を務めたドヴォルザーク。
ただの有名曲を並べただけではない意欲的なプログラムに、期待も高まります。

「モーツァルトの再来」と言われたほどの神童ぶりを発揮したコルンゴルトは、オペラの世界でその才能を遺憾なく開花させていましたが、1930年代になるとユダヤ系の彼にとっては苦難に満ちた時代に。ドイツがオーストリアを併合した翌年には、活躍の場であったウィーンからアメリカに渡り、ハリウッドで数多くの映画音楽を手掛けました。その彼が残した唯一のヴァイオリン協奏曲は後期ロマン派流の流麗な響きが魅力ですが、決して演奏される機会は多いとは言えません。ましてや地方都市でその演奏を聴くことができるなんて、この機会をのがしてはもう二度ないでしょう(ちょっと大げさ)。
過度に響きすぎないN響のサウンドのおかげで複雑な曲の作りも見通し良く、十分に楽しむことができました。グリンゴルツのヴァイオリンは、絢爛たるオーケストラの生地を彩る刺繍のよう。僕が持っているCDのギル・シャハムの演奏より、オーケストラとの掛け合いが明瞭だったグリンゴルツさんの演奏の方に魅力を感じました。

順番は前後しますが、この日のコンサートの1曲目は「戸外の序曲」。コープランドらしい簡明な響きと分かりやすい曲想。ただ、何となく長旅のお疲れを感じたのは気のせいでしょうか?

休憩をはさんで、メインのドヴォルザーク。交響曲第9番というより「新世界から」と言った方が、ピンときますね。第二楽章のコールアングレのソロを聴いて、9割以上の人が「遠き山に日は落ちて」を心の中で歌っていたはず(当社調べ)。
落ち着いたテンポ、響き全体も落ち着きを持ったもので、NHK交響楽団の響きも堪能いたしました。特に、バストロンボーンの方が何とも素晴らしい!バストロがこれだけ安定したサウンドだと、上の方もさぞや吹きやすいのでは?こんなにも厚みのある音のバストロを、日本のオーケストラで聴いたことはありません。このバストロを聴けただけでも、この日は満足。コールアングレの方が喝采を集めていらっしゃったことに異論はありませんが、このバストロの方にもブラヴォー!

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