2024.09.27 広島交響楽団 ディスカバリーシリーズ 「ふたりのヴォルフガング」第2回 (アステールプラザ大ホール)

2024年9月27日(金) 18:45開演 JMSアステールプラザ大ホール
指揮:クリスティアン・アルミンク
オーボエ:板谷由起子
クラリネット:品川秀世
ホルン:小田原瑞輝
ファゴット:門田奈々
チェロ:マーティン・スタンツェライト

モーツァルト:歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」序曲
モーツァルト:管楽器のための協奏交響曲変ホ長調 K.297b
コルンゴルト:チェロ協奏曲ハ調作品37
コルンゴルト:「シー・ホーク」組曲

こちらに住んでいるとなかなかコルンゴルトを聴く機会がないので、広響の今年のディスカバリーシリーズ「ふたりのヴォルフガング」は嬉しい限り。
第1回目は所要で伺えなかったので、今回が初。

一人目のヴォルフガング、モーツァルトはK.588序曲とK.297b。K297bの自筆譜がない問題はさておき、管楽器奏者の妙技を味わうことができる佳曲。
K.297bでは、広響が誇る板谷さん、品川さん、門田さん、小田原さん4人の首席奏者の皆さんの演奏を堪能。
最後のアンコールでのK.622の2楽章での品川さんのしっとりとした音色と歌いまわし、絶品。

二人目のヴォルフガング、コルンゴルトはチェロ協奏曲とシーホーク組曲。
マーティンさんのソロ、音楽が進むにつれて伸び伸びと響くチェロが素晴らしい!コンパクトだが、甘いメロディーと巧みなオーケストレーションが施された協奏曲は、これぞコルンゴルト!
シーホーク組曲、冒頭から鳴りっぷりのよいオーケストラの音に身を委ねれば、コルンゴルトの世界にどっぷりと。こうして様々なコルンゴルトの作品に触れる機会を作ってくださったアルミンク監督、広響の皆さんに心からの感謝を!

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2024.08.25(日) ひろしまオペラルネッサンス プッチーニ:歌劇《修道女アンジェリカ》 歌劇《ジャンニ・スキッキ》

2024.08.25(日) ひろしまオペラルネッサンス アステールプラザ 14時開演


ジャコモ・プッチーニ:歌劇《修道女アンジェリカ》全1幕
〈原語(イタリア語)上演/日本語字幕付〉

ジャコモ・プッチーニ:歌劇《ジャンニ・スキッキ》全1幕
〈原語(イタリア語)上演/日本語字幕付〉

芸術監督・演出:岩田達宗
指揮:川瀬賢太郎
管弦楽:広島交響楽団
合唱:ひろしまオペラルネッサンス合唱団、NHK広島児童合唱団

《修道女アンジェリカ》
アンジェリカ:田坂蘭子
公爵夫人:八木寿子
女子修道院長:大賀真理子
修道女長:森園あや
修練長:新家華織
修道女ジェノヴィエッファ:川手響
修道女オズミーナ:中野綾
修道女ドルチーナ:荒尾公美子
医務係の修道女:山下裕子
托鉢係の修道女A:網永悠里
托鉢係の修道女B:須藤歩希
修練女:小坂有理亜
助修女A:本村聡子
助修女B:吉川秋穂
修道女:大城薫、片山孝恵、久保幸代、重本ゆうき、平岩蘭、藤原晴珠、山持真美

《ジャンニ・スキッキ》
ジャンニ・スキッキ:安東玄人
ラウレッタ:原田幸子
ズィータ:佐々木有紀
リヌッチョ:中島康博
ゲラルド:難波孝
ネッラ:柳清美
ゲラルディーノ:重本ゆうき
ベット:飯塚学
シモーネ:安田旺司
マルコ:山本徹也
ラ・チェスカ:浦池佑佳
スピネッロッチョ:山岸玲音
アマンティオ:山岸玲音
ピネッリーノ:一大輔
グッチョ:森本誠

「ジャンニ・スキッキ」、「修道女アンジェリカ」ともに、舞台背景はベックリンの「死の島」がモチーフ。
演出の岩田さん曰く、「死者の記憶を守り、悼み、祈るために描かれた名画が、現代の広島で舞台上によみがえる。79年前にここで亡くなった方々を忘れないでほしい、同時に、新しい人が広島に集まってほしいという願いを込めている。舞台を通じ、大切な人のことを思い出してほしい。」(中国新聞8月16日WEB版)。

開幕前に出演者が舞台設営を始める趣向は、一興。特に、ジャンニ・スキッキではリヌッチョが一人舞台に残って継ぎ目なく始まり、こうした演出もありだと思った。

会場はアステールプラザ大ホール。ここは響きが非常にデッドで、以前に2階席最前列でディスカバリーシリーズを聴いた時は、音の響きが期待したものよりも薄かったこともあり、音を堪能するためにはできるだけ前方席が良いのではと判断。
前から5列目の席を確保して、実際に席についみると少々舞台に近すぎたかもと思ったが、正解。声、オケともに明瞭で音量も問題なし。
バランスの悪さを危惧したけれど、声とオケのバランスは良好に感じた。

川瀬マエストロの指揮は、細やかで明瞭。ヴェリズモ系との親和性が高いかも。コンサートでもオペラでも、また、聴いてみたいと思った指揮者。
広響は充実した響き。深いオケピットは、声とのバランスをとった結果なのか。

歌手では、ジャンニ・スキッキ、アンジェリカともにブラヴォー。外題役以外も、ラウレッタ、リヌッチョ、公爵夫人、ジェノヴィエッファ、オズミーナ、ドルチーナにも賛辞を。

「修道女アンジェリカ」、自死の決心から救済までは、もう少し演出がセリフを補って心の揺れを表現できていたら良かったかも。歌唱は素晴らしい。カーテンコール前、アンジェリカと幼子が並んで立っている姿に、2人の魂の救済を見る。

20分休憩。ロビーでは、オペラの舞台となったイタリアのワインが提供されていた。ノン・アルコールのスパークリングワインがあり、車での来場者にとっては嬉しい一杯。

「ジャンニ・スキッキ」では、字幕の一部が広島弁。自分は、肯定的に受け止める。
幕切れ前、演者が集まり、ジャンニ・スキッキが会場に問いかけるシーンは、良いアイデア。あえてフライング拍手を誘い、それがいい雰囲気に。
場を和ませるためのアドリブ的なシーンがあったけれど、少々品がなかったかも。そんなことをしなくても、客席は十分に温まっていたと感じた。

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2024.09.04(水) 広島交響楽団第444回定期演奏会(広島HBGホール)

開店休業状態の我がブログ。
コンサートの備忘として、9月4日に開催された広島交響楽団第444回定期演奏会から記録をつけてみる。

その後、適当に時間を遡って記事を投稿する予定。予定は未定、どこまで遡れるか。また、いつまで続くか。

 

2024.09.04(水) 広島交響楽団 HBGホール 18時45分開演
指揮:ヘンリク・シェーファー
ソプラノ:隠岐彩夏
メゾ・ソプラノ:加納悦子
テノール:ペーター・ローデル
バリトン:ユーリ・ハゼスキー
合唱:東京オペラシンガーズ

シェーンベルク(生誕150周年):「浄められた夜」 作品4
ブルックナー(生誕200周年):ミサ曲第3番ヘ短調 WAB 28

シェーンベルクでは、下手から1stヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、2ndヴァイオリンと並び、その後方にコントラバスが一列。
この並びのためなのか、低弦の音の厚みがいつも以上に感じられた。
「浄められた夜」は細やかにサウンドを重ねながら、大きなストーリーを紡ぎだす演奏。繊細な弱音とトゥッティのマッシヴなサウンドのコントラスト、素晴らしい。指揮も明確で、音楽が向かう先が迷子にならず、安心して音楽に集中できた。
ただし、客席内では電子音が何度も。斜め後ろの席ではメッセージ着信音、録音開始・終了と思しき音。遠くでは電話着信音も。一体どうなっているんだ。

ブルックナーの生誕200年記念の年、9月4日の誕生日にシェーファーの指揮でミサ曲第3番、10月11日の命日に準・メルクルの指揮で、9番。選曲者のセンスに、脱帽。いずれの前プロも、シェーンベルク、R.シュトラウスと、よくよく考えられた素晴らしい選曲。

本日の合唱は、東京オペラシンガーズ。8月6日の「復活」でも素晴らしい合唱だったが、自分たちが本日の主役の一人であると自覚した入魂の歌唱、圧倒されるばかり。
プロ歌手の合唱団の底力に、ただただ恐れ入った1時間。
ピアノが瘦せることなく、フォルテが荒れることなく、響きの質と音量の変化のマトリクスの中に様々な声を配置していく技術に驚嘆。

ソロは、女性二人に心からの賛辞を。芯のあるクリアな隠岐さんの声は、いつ聴いても素晴らしい。加納さんの声を聴き、大阪での素晴らしいヘロディアスの歌唱を思い出した。
女性に比べると、男性のコンディションにはいささかの疑問符が。特に、テノールはどうしたのだろう。美しくよく響く声なのに。

ミサ曲での四方さん、安保さんのソロはお見事。縦が少しずれ気味でヒヤリとする瞬間もあったけれど、リハとはテンポが違った?

こうした曲での、ホルンの山岸さんと渡辺さんのコンビは、本当に良い。
九響の高井さんを迎え、余裕をもって朗々と吹奏するトロンボーンパート、実に素晴らしい。

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2024「平和の夕べ」コンサート 2024年8月6日(火) 18:45開演(17:45開場) 広島文化学園HBGホール

マーラー 交響曲第2番「復活」

指揮:クリスティアン・アルミンク
ソプラノ:並河寿美
メゾ・ソプラノ:藤村実穂子
合唱:東京オペラシンガーズ

 

入魂の演奏。「復活」一曲のみ。

デフォルメを避けつつ、丁寧に造形を重ねて堂々たる音楽を築く。
生演奏につきものの傷は会場で聴いている限りでは気にならず、高い完成度に驚愕。
2年前の平和の夕べでのマーラーの交響曲第3番とは、全く別人のような指揮ぶりに接し、ようやくアルミンクに対する印象を上書きすることができた。

コントラバス首席として髙本さんが入団されてから、低弦の音に力感と瞬発力が増し、オーケストラの音に厚みが加わったように思う。もちろん、ここ数年で広響に加入された池田さん、三上さんの貢献を言うまでもなし。

ご一緒した方も仰っていたが、2楽章のアンダンテ・モデラートの上品な演奏は絶品。3楽章のスケルツォでも、あえて軋みをことさらに強調することなく音楽が形作られていて、こうした演奏のあり様は肯定的に受け止める。

4楽章の原光。藤村さんの深い声が会場に響く。デッドなHBGホールに合わせた歌い方で瞬時に対応されているのだろうか。本当に素晴らしい。
静謐な中で藤村さんの歌唱に耳を傾ける人々の気持ちを逆なでするように携帯電話の着信音が、今年も鳴る。残念の極み。2年前、マーラー3番の4楽章の藤村さんが静かに歌い出す、まさにその瞬間に着信音が鳴った悪夢が、この夜も再び繰り返される。狙ってるの?猛省を求める。

5楽章、合唱の入る瞬間、世界が変わる。何なんだ、この声は。
9月のブルックナーミサ曲第3番の演奏会は、絶対に聴かなければ。
オーケストラ共々に大きなクライマックスを築き、終結。
本日も、ローブラスの安定度は光っていた。チューバの古本さんは、いつもの太く安定した音程。それだけに、ほんの数か所音が外れてしまったのは実に惜しい。ブルックナーといい、マーラーといい、難物だということを実感する。

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第31回島根定期演奏会 2024年4月27日(土) 14:00開演 松江市総合文化センター プラバホール

指揮:クリスティアン・アルミンク
チェロ:横坂源
オルガン:室住素子

J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調
J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ

ドヴォルザーク(没後120年):序曲「謝肉祭」作品92
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲ロ短調作品104(B.191)
ヤナーチェク(生誕170年):狂詩曲「タラス・ブーリバ」*

第31回島根定期は、ドヴォルザークの「謝肉祭」とチェロ協奏曲、ヤナーチェクの狂詩曲「タラス・ブーリバ」というチェコ特集。個人的な注目曲は、何と言っても「タラス・ブーリバ」!

2024年プログラムが発表されたときから、個人的には目玉となる演奏会の一つでした。発売日初日に希望の席を押さえて、この日を指折り数えて待っていたコンサート。
様々な指揮者が録音しているものの、演奏頻度は全国的にもそれほど高くないこの曲を、こうして取り上げてくれる広響に深甚なる感謝を。

アルミンクさんの「タラス・ブーリバ」といえば、若かりし頃にヤナーチェク管弦楽団を指揮したヤナーチェクアルバム。
CDでしか聴いたことがなかったアルミンクさんが指揮する「タラス・ブーリバ」を聴くことができるのなら、しかも演奏するオーケストラが広響となれば、我が家から片道3時間の距離もなんのその。

演奏は期待に違わぬ素晴らしさ。ヤナーチェク独特の和声感、リズム感を生で体感できる幸せよ。プラバホールで聴くオルガンは壮麗で、終曲を力強く盛り上げる。
演奏会後、楽屋口でマエストロのヤナーチェクのCDにサインを頂戴し、恐悦至極。ご自身の若かりし姿のジャケットに受けていらっしゃいました。

狂詩曲「タラス・ブーリバ」は19世紀にゴーゴリが著した物語に基づくものですが、その舞台となるのは16~17世紀の現在のウクライナ。ゴーゴリの物語はポーランド・リトアニア王国との関係を踏まえたもの。
当時の地域間の力関係を知り、作品理解の一助とすべく山川出版の世界各国史の「ポーランド・ウクライナ・バルト史」を入手。
ポーランド生まれとされるシマノフスキの生地は現在のウクライナであることも、本書を読めばその歴史的経緯を理解することができる。

演奏の順番は前後するが、横坂さんのチェロは熱を帯びつつも端正な表情が印象的。ドヴォルザークのチェロ協奏曲を演奏会で聴くのは、誰以来だろう。

久しぶりの松江訪問。せっかくの機会なので、大学の同級生M君に案内してもらい、出雲そばを堪能。その後、色々と忙しい中で松江城、宍道湖も連れて行ってもらう。
本当に、ありがとうございました。また、皆で会いましょう。

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2024年03月24日(日) 群馬交響楽団 東京定期演奏会 2024年 春  サントリーホール

指揮:飯森範親 
ピアノ:ジャン・チャクムル

モーツァルト:ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466
ブルックナー:交響曲 第9番(コールス校訂版)

2024年東京遠征の掉尾を飾るのは、飯森範親マエストロ、群馬交響楽団のブルックナー交響曲第9番。前プロのK.466の独奏は、若手の有望株チャクルム。

大学の同級生のK君と広場で待ち合わせ。今日は虎ノ門から歩いてきたとか。相変わらずの健脚ぶり、さすが。

席は、RC1列6番。全体の響きを味わいたかったのでRCを選んだが、奏者の姿をもう少し間近で見たかった。音はよく響いていたので全く不満はなかったけれど、やはりRBにすべきだったかも。

K.466の前奏からチャクルムさんはピアノを弾いていて驚愕!
なるほど、当時はこうしたこともあったのかも。伸び伸びと弾く姿は見ていても気持ちよく、このアイデアもありでは。もっとも、皆がみんな、真似し始めるたらそれはどうかと思いますが。

休憩後の、ブルックナー。
ところどころで、いつもとは違う音が聞こえてきたように思うけど、気のせい?それとも、コールス校訂版だから?
弦楽器セクションにたっぷりとした厚みがあるから、力強いブラスセクションもギリギリのバランスで突出せず。それにしても、よく鳴る。
終演後の熱心な拍手に、こうして熱心なファンに応援されるオーケストラっていいなと素直に感じ入る。

K君と東京駅まで移動し、軽く一杯。
名残惜しいけれど、これにて東京遠征は終了。
帰りのサンライズ瀬戸のシャワーカードを入手するため、9番線の11号車入口付近の行列に並ぶ。1時間程度なので、音楽でも聞いていればあっという間。

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2024年3月23日 楽劇「トリスタンとイゾルデ」 新国立劇場 オペラパレス 開演14時

指揮:大野和士
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
美術:ロバート・ジョーンズ
照明:ポール・コンスタブル
振付:アンドリュー・ジョージ

トリスタン:ゾルターン・ニャリ
マルケ王:ヴィルヘルム・シュヴィングハマー
イゾルデ:リエネ・キンチャ
クルヴェナール:エギルス・シリンス
メロート:秋谷直之
ブランゲーネ:藤村実穂子
牧童:青地英幸
舵取り:駒田敏章
若い船乗り:村上公太
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京都交響楽団

朝から小雨。時刻表を買うために上野に出かけ、ついでに朝食。
一度宿に帰り、のんびりしてから新国立劇場へ。初台へ、だなんて気取った言い方は似合わない。

初めての新国立劇場。お上りさんであることを恥じることなく、建物内をあちこち逍遥し、X100Fでパチリ、パチリ。
オペラパレス内部は木材と華やかでありながらも落ち着きのある色調で、コンクリートとガラスを多用したモダンな外観とは対照的。

席は、2階R1の10番。ステージも上手側奥以外はほぼ全て見えつつ、オケピットを斜め上から見渡すことができて、指揮者もよく見える特等席。ステージ、オケピット、指揮と視点を動かすことに忙しいのが贅沢な悩み。
オケの音の密度がやや薄いのではといったレビューも拝見したが、自分の席では十二分な音の厚みを感じられ、素晴らしい都響の響きを堪能。
やはり、自分はオペラはピット近くの席が好みであることを再確認。舞台に近いので舞台装置の軋み音が聞こえてくるのも、一興。

外題役の歌手は当初発表から二人とも変更になるというアクシデント、もといオペラ興行ではよくあること?にも関わらず、健闘していたと思う。
キンチャのイゾルデは細身ながらも美しい声で、好印象。ニャリのトリスタンは姿とは異なり若干の軽めの声質で声量も控えめ。無理して声を絞り出すよりはよっぽどマシとは思うものの、他の歌手の充実の前には若干沈み込み気味だったかも。
ブランゲーネ、マルケ王、クルヴェナールはいずれも申し分なし。藤村さんの素晴らしいブランゲーネを聴けて、ただただ満足。

舞台は、シンプルながらも美しいもの。光の使い方が控えめながらも非常に印象的。
指揮の大野マエストロ、一幕から三幕の幕切れまで集中力を途切れさせることなくオーケストラと歌手に指示を与え続けている様を見られて、やはりこの席にして良かったと満足。
二幕の二人の甘美なデュエットはあえて抑制的な歌い方だったように思うが、これはこれで美しい情景。一部カットしたのは、急遽参加することとなったニャリへの配慮?
赤く染まった月に向かって歩くイゾルデの後ろ姿を見送る幕切れまで、三幕の幕開けからの集中力は途切れず。
イングリッシュホルンのソロの際に客席から大きな咳が聞こえたものの、こればかりは致し方なし。ご本人も、さぞ恐縮されていることでしょうし。
盛大なカーテンコール、終演は19時30分過ぎ。

幕間ダッシュに負け続けたので、幕間のお楽しみの一つ、シャンパーニュやワインをゆっくりと座っていただくことはできず。まぁ、立って飲んでも味わ変わりませんからと、強がってみる。

このあと、大学の同級生と新宿でプチ同窓会。みんな、変わったようで変わっていませんでした。
楽しい時間は、あっという間。もう少しで終電に乗り遅れるところ。危ない、危ない。
店の手配等で大変お世話になりました。また、元気なうちに会いましょう。

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2024年3月22日 日本フィルハーモニー交響楽団 第758回定期 サントリーホール

指揮:アレクサンダー・リープライヒ
ヴァイオリン:辻彩奈
三善晃:魁響の譜
シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番 op.35
シューマン:交響曲第3番《ライン》 変ホ長調 op.97

辻彩奈さんのヴァイオリン独奏、シマノフスキのヴァイオリン協奏曲第1番がプログラムに掲載されたので、2024年の東京遠征はこの日に決定。
ぶらあぼでこの日近辺のコンサートを確認してみると、23日は新国立劇場でトリスタンとイゾルデ、24日は群馬交響楽団と飯森範親さんのブルックナーの交響曲第9番。さすが、魔都東京。
往復の行程は別に記録するとして、まずは演奏会の記録から。

入谷付近の宿に22日17時過ぎに予定どおり到着して荷物を下ろし、いざサントリーホールへ。東京近辺の方の言い方だと、いざ溜池山王へというところでしょうか。
久しぶりのサントリーホール。席はお気に入りのLB、今日は8列目。
18時30分から広瀬大介先生のプレトークあり。

第1曲目の三善晃の「魁響の譜」は岡山とゆかりの曲。響きの交通整理が行き届いた指揮。明瞭なタクトは、こうした曲を演奏するオーケストラにとってもありがたいのではないか。
日フィルのニュートラルな響きが好印象。微妙なグラデーションをつけながら移ろう音の色彩に、楔のように打ち込まれる打楽器。素敵。

さあ、本日のコンサートの個人的なメインの、シマノフスキの1番。
まず、この席を押さえた自分を称えたい。
オーケストラがぼやけることなく解像しながらも、良好に響くバランスの良いサウンド。辻さんのソロもくっきりと浮かび上がって聴こえ、もう最初の一音から心を鷲掴みにされてしまい、囁くように消えゆく終曲まで、ひとときも放されず。
色彩の豊かさもさることながら、音の立体感が素晴らしい。シマノフスキの仕掛けがこんなにも明瞭に聴こえてくるとは!明確なビジョンを持った指揮者の高い技量のタクトに導かれたオーケストラと、凛とした豊かな響きの独奏ヴァイオリン。
これほど、高いレベルのシマノフスキを聴けるだなんて・・・。あまりの素晴らしさに身震いする。
この演奏が聴けただけで、この度の東京遠征は十分満足です。

・・・と思っていたら、休憩後のシューマンの交響曲第3番。生き生きと波打つように始まった第1楽章、これは素晴らしい!リープライヒは、厚い音に埋もれがちになるフレーズを浮かび上がらせ、対位的な進行を殊の外興味深く聴かせてくれる。
知的で分析力に非常に優れる指揮者と拝察。この演奏会まで名前を存じ上げなかった己を恥じ入るばかり。

遠征後、山口に戻ってリープライヒがポーランド放送交響楽団を指揮したシマノフスキとルトスワフスキのシリーズのCDを全部購入。
ヴァイオリン協奏曲第1番はツェムリンスキーの抒情交響曲とのカップリング。いずれも、名演。


追記
当日の演奏会レビューが、毎日クラシックナビに掲載されているのを発見。
https://classicnavi.jp/newsflash/post-15824/
三善、シマノフスキの好意的な評に、我が意を得たり。
辻さんのヴァイオリンに対する評は、まさに同感。
「張りと芯のある」辻さんのヴァイオリンを評して、「厚めの綿織物の中に絹糸を1本通すが如し」とは、言い得て妙なり。

違いは、シューマン。「細かい変化が盛り込まれていく」ものの、「全曲が同一のトーンに終始した」との評。
自分としては、全体的な音色の統一感を保ちながら、素晴らしく生気に溢れた立体的な演奏に大満足だっただけに、そこの評価がこの曲の演奏全体の印象を左右するのかと得心。
この評を読んでも、自分が抱いたこの日の演奏に対する印象に些かも変わりはなし。
むしろ、オケのあの音色がこの日のシューマンの良さの一つだったのになと思うものの、専門家の聴き方は参考になる。

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生存確認

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今年も一度も更新することなく、年の暮れが迫ってまいりました。
皆、元気に暮らしております。
無事に過ごすことができるありがたさを噛み締めながら、年末の大掃除に励んでいます。
皆様、良い年をお迎えください。

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生存確認

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年が明け早くも1月の三分の2を過ぎようしており、今頃ご挨拶申し上げるのもお恥ずかしい限りですが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
家族3人、犬1匹、元気に過ごしております。
娘は今春には、高校2年生。中学校から始めた陸上競技に熱心に取り組んでいます。

 

カメラに触れる機会がとんと少なくなってしまいました。今年は、通勤カバンにX100FかGRを常に忍ばせて、手に触れる機会を増やしたいと思います。

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